2ストはなぜ無くなった?

学生時代(90年代前半)、バイクには2スト、4ストの2種類のエンジンがあり、特に2ストは力強いというイメージがありました。


当時乗っていた原付50ccスクーターも2ストでした。
当時の原付スクーターは加速は鋭く、あっという間に60km/hに達します。
スタート時もアクセルを吹かしすぎるとウィーリーしてしまうほどで、クロスカブよりもパワフルだったような気がします。

軽くて高出力の2ストロークエンジン搭載のバイクはなぜ消えていってしまったのでしょう?

2スト(ストローク)とは

通常の4スト(ストローク)エンジンではピストンは2往復する間に吸気・圧縮・燃焼・排気の4行程を順に行います。

一方、2スト(ストローク)エンジンでも吸気・圧縮・燃焼・排気を行いますが、吸気と圧縮、燃焼と排気をそれぞれをセットにできるので、2ストはたった2行程でピストンが1往復します。

2ストエンジンは4ストエンジンの半分の過程で1周期を終えるのでより高出力なエンジンとなり、馬力・トルクに優れるといわれています。

さらに4ストに比べればエンジン部品数が少なく整備や修理が簡単で軽量化もできるというメリットもあり、多くのバイクに2ストが採用されました。

2ストエンジンの欠点

軽量コンパクトで高出力の2ストエンジンには、2つの欠点がありました。
排ガスと燃費性能です。
2ストエンジンは、掃気行程で混合気と燃焼ガスが混じり合うため燃焼が不安定となり燃費性能の悪化につながります。
また混合気が排気ポートから抜けてしまうこと、混合気中にエンジンオイルを混合することで排ガス特性が大きく劣ります。

この排ガス特性が2ストエンジンが消えることになった最大の理由でした。

排ガス規制

1998年排ガス規制

1998年にバイクで初めて排ガス規制が施行されました。
この規制に対応するため、触媒を使った空燃比制御と点火時期制御が採用されました。
原付バイクは排気量が少なく販売台数が多いので、上記の触媒を利用した排ガス低減手法によって規制に対応しました。
一方、排気量の大きい125ccや250ccクラスは、規制対応による出力低下や開発コストの上昇などの問題から、多くは排ガス規制対応を諦めて生産を中止しました。

2006年排ガス規制

この規制によって対応はより厳しくなり、2ストロークエンジン車はほぼ消え去りました。

さらなる規制は続く(EURO4 EURO5)

さらに2016年排ガス規制(EURO4)、さらに2020年排ガス規制(EURO5)と規制はますます厳しくなっています。
現行の4ストエンジンもこれをクリアーできないモデルは、適用時期以降の生産ができなくなる流れとなっています。

HONDAホームページより抜粋
日本国内向け二輪車に対して2022年11月生産分より「令和2年排出ガス規制」が適用されることに伴い、一部機種につきましては現行モデルの注文が生産計画に達した場合、受注を一時停止させていただきます。
※令和2年排出ガス規制 適用開始時期:新型車 2020年12月、継続生産車 2022年11月(第一種原動機付自転車にあっては、2025年11月)

まとめ

250ccの2ストバイクが生産終了して25年が経ちました。
その加速感やエンジンサウンドに魅了されたライダーは数知れません。


環境性能が重視される時代の中、今後ガソリンエンジンまでなくならないことを望むのみです。

この記事は2ストロークと排ガス規制:2ストローク消滅の原因となった問題点【バイク用語辞典:2ストロークエンジン編】著者Mr. ソラン
を参考にしました。

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